山口大学の口腔外科 コーヒーカップの思い出   

最近物がとっても安くなって、少し怖い気がします。値段を下げても下げても物が売れない。その裏で、商品にかかわっている人たちがどんどん貧しくなっていく。その人たちも仕掛けている側であると同時に仕掛けられている側でもある。これが恐ろしいデフレというもののようです。
 しかし、物が、どんどんありがたみを失っていく中で、自分の人生といっしょに歩いてきた物、というものがありませんか。長いこと自分が大切にして愛用してきたものです。
 私にもそういう物があります。そのひとつが写真のコーヒーカップです。萩焼の小ぶりなカップアンドソーサー。

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私がまだ大学を卒業して、山口大学の口腔外科で研修していた頃のことです。歯科医の免許は持ったものの、まったく技術は伴わず、日々各方面からのプレッシャーに押しつぶされそうな毎日を送っていました。
 そんな私に、ある日、顎を骨折された患者さんがまかされました。彼女は40代、萩に住む奥さんで、何でも土木工事のアルバイト中に、負傷されて、大学病院の口腔外科に入院することになったのです。 ベテランの先輩の指導のもととは言え、私の名前が枕元の主治医欄に書かれて、私はかなり張り切っていたものの、患者さんにすれば、こんな下っ端のドクターが主治医なんて、なんと心細かったことか・・・。
 彼女は、土木工事とは結びつかない、華奢でやさしい面持ちの女性でした。あまりたいしたこともできないかわりに、あしげく病棟に通う私に、いつもニコニコ応対してくれました。教授が来たときも、私が来たときもいつも、同じように丁寧に挨拶してくれるので、だんだん彼女に会いに行くのがうれしくなりました。

 彼女の家は、大家族で、中学か高校かの子供さんがいました。萩から大学病院まではずいぶん距離があり、子供たちともなかなか会うこともできません。それに、顎を折ると、上下の顎を固定するため、一ヶ月近く流動食になるのですが、不平を聞いたこともありませんでした。いつもしゃべりにくい口を動かして、誰にでもありがとう、とにこっと笑ってくれました。ナースもドクターも、だんだん彼女の笑顔に接すると幸せな気分になって、彼女の周りには幸せの湯気がたちこめているようでした。
 一ヶ月近くの入院のあと、やっと治って、彼女はご主人のお迎えとともに、愛する家族のもとに帰っていくことになりました。
 支度を済ませた彼女は、はにかんだように紙袋をさしだしました。
「先生、お世話になりました。うちは、萩焼のお店もしているんです。よかったらこれ使ってください。」私はたいしたこともできてないので、びっくりしましたが、ありがたく行為に甘えました。
 あけてみると、なんとも愛らしい素朴なカップが二つ、箱書きのあるきれいな箱に鎮座していました。なんだか、彼女を思わせるやさしいデザイン。私はすっかり魅了されてしまいました。
 
 それからというもの、このカップはいつも私といっしょです。 いつもは、気軽なマグカップなどを使ってお茶していますが、ここぞというくつろぎタイムには、麻のランチョンマットになど載せて、ごそごそとこのカップを出してきます。
 そのときは、やっぱり、彼女の笑顔を思い出します。
 そして決まったように、カップが語りかけます。人に幸福を伝染させられる人間になれているか~?・・・もうとっくに彼女の年齢にたっしているけど、と・・・。

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# by urakawasika | 2009-10-30 17:10 | Comments(0)

うつ病という現代病   

 うらかわ歯科医院におみえになる患者さんで、うつ病の治療中・・・と問診票に書かれる方が増えました。うつ病という言葉は、特に耳新しい言葉ではないような気もしますが、やはり、ここ数年,流行のように身近にあふれ、親しい人まで、その病魔に襲われた、などと聞くとやはりただごとではない気がします。
 はたからは、明るく元気なさち先生と思われていますが、やはり、毎日診療で、何十人の方に出会って色んな気を使っていると、自分でも気づかないうちに消耗していることに気づくことが時々あります。体は疲れているのに、眠りになかなかつけなかったり、今まで楽しいと思えたことが、どうでもよく思えたり。やれやれ、これはどうも心が少しかぜをひきかけているな、とそんなときは認識せざるを得ません。・・・たぶんこういう状態が、もっともっと続いて。気分が上向くことなく沈みこんでいくカーブを描くと、その先に「うつ病」,「うつ状態」という病気が待っているのだと思います。

c0219595_19192187.jpg 先日雑誌を読んでいたら、ホリスティック医療に取り組む、帯津三敬病院の院長先生である、帯津良一氏がとっても興味深いことを言っておられました。
 ”「心は脳内現象にすぎない」と断言する脳科学者もいますが、私は反対です。脳細胞は生命場のエネルギーを心として認識するためのフィルターに過ぎないんじゃないかと考えています。脳の働きだけで心を理解することはできないと思います。」
 つまり、心イコール脳、という単純なものではないということなのでしょう。どれだけ、脳の研究が進んでも、心のすべてを解明することはできないとおっしゃっているのだと思います。ちょっと難しいですが、なんとなく、私も同感です。
 さらに、うつとは、生命場のエネルギーが低下した状態、あるいはゆがんだ状態だ、とも説明されていました。・・・・そして、もっと言い換えれば、地球の場のエネルギーが低下したことが様々な現代病をふやし、うつもそのひとつである、・・とも説明されていました。
 私は、医療人のはしくれですが、なんだかとってもよく理解できた気になりました。
医学も、すべて、科学だけでは解決しないし、いきづまる。人間も物質だけでは説明できない霊的な存在なのではないだろうか、と思います。

そして、とてもおもしろい引用文もあって、とても励まされましたので、紹介しておきますね。


ストレス学の権威、カナダの生理学者ハンス セリエの言葉
彼はストレスが病気を引き起こすことを証明しながら、その対極で、「ストレスは人生のスパイスである」、と言いました。
また、それを援護するかのように、精神科医 神谷恵子さんは、「生きがいについて」という本の中で、「本当に生きている、という感じを持つためには、生の流れはあまりになめらかであるよりは、そこに多少の抵抗感が必要だ」とも書かれているそうです。

そして、人間は、もともとさびしくて、暗くて後ろむきなもので、人生はつらくて厳しくて困難なもの、思い通りにはいかないものなんだ。 というところからスタートすることが大切なのではないか・・・・と前出の帯津先生は結んでおられました。

けっこうヒントになりませんか・・・

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# by urakawasika | 2009-10-20 17:56 | さち先生ブログ | Comments(0)

さち先生のおしゃべりリビング始まります!   

皆様始めまして。うらかわ歯科の通称さち先生こと、副院長です。よかとぴあ通りのサッチーなどと呼ぶ知り合いもいます。今話題のアラフォー世代の私ですが、パソコンはウインドウズが発売される前からえっちらおっちら使っていました。そんな私でも、まさかこんな、ブログなんていう壁新聞みたいなものを、誰もが書いて、誰もが見れるなんていう時代がこようとは、想像だにできなかったですね。
 かつては文学少女だった私が、歯科医院にととまらず、プライベートなエッセイをつづっていきますので、おひまつぶしにたちよってください。
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# by urakawasika | 2009-10-16 19:45 | さち先生ブログ | Comments(0)