診療報酬改定、官僚の奴隷のような私たち!   

 「歯科は、値上げされたんでしょう!よかったね。少し経営が楽になるね。」

と、3月の終わりに、一部上場企業のOLをしている友人から電話をいただきました。
私は、はーっとため息。
彼女は、たいした休みのひとつもとれない歯科業界の現状を,かねがね私から聞かされているので、こういう電話をしてくれたのでしょうけど、
実は、歯科の一般の診療所の診療報酬は下がりました。

歯科医になって、真っ先に驚いたのは、私たちの技術に対する国が定めた値段があまりに安いこと。

 抜歯はどうでしょう。説明から、止血、リスクに対する責任。すべて込みで2500円(窓口料金はもっと安いですよね)
麻酔注射は歯科医院持ち出し。所要時間は、ぜ~んぶ込みで40分くらいでしょうか。もっとかかることもありますよ。エステなら、これって、おためし価格になりませんか。

銀歯の型をとるような治療も、麻酔や説明はこちらの持ち出しで、虫歯を削って、深いところを高い材料で保護して、銀歯がひずまないようなうまい形に削っていくところまでが、1200円。これは30年間普遍。(卵より物価の優等生・・とほほ)・・・型とり、かみ合わせの記録、賞味740円
あとは、歯に仮の詰め物をして、とった型にうまく、石膏を流して、それが固まったら、型から石膏をはずして、模型をきれいに処理して、技工士さんにどういうものを作ってほしいか、書類をつくりってお願いする。

この一連の付属する作業はただ。全部入れると一時間はかかるのではないでしょうか・・・。

 私たちは、どんなに赤字になろうが、官僚が、胸先三寸で決めた料金しかいただけません。もちろん、経済アナリスト的なところがやるような、原価計算などされようはずもなく、官僚が、適当に決めているみたいです。

 そして、このたびも、このしょっちゅう日々行われる治療は、何十年も据え置き。何かが、10円あがったとか、下がったとか、適当な数字いじりをして、結局また現場は減収でした。

 そして、2年ごとにころころかわるルールに、診療のほかに、さまざまな事務仕事は膨大になり、仕事が終わると、もうみんなくたくたです。

 みなさん、誰かの歯を2500円で一時間かけて抜歯したいですか?
治療に使う専用の椅子は400万円、器具は事前にすべて滅菌・・・・抜歯はなかなか高度な技術ですよ。
前出の友達が、「あたし、そんなばからしいことやりたくないなあ!」
と言いました。

 おかげで、歯科医療にかかわっている人の多くは、社会保険もなく、退職金もなく、週休二日でもなく、過酷な条件で働いています。もちろん、勤務医の給与などは、400万円あればいとこですね。

 でも、知られてないんです。マスコミが、政府が診療報酬が上がった、と言えば、翌日、上がった、とニュースで流すだけなので、どんなに、下がっても、その事実は伝えられません。今回は下がった、という年などは、医療を、素うどんの値段かなんかと間違ってるんでは?みたいな、世界になります。小泉さんの時代に、やれば、こちらが手出し、みたいな治療が、どれだけふえたことか・・・

 当医院も、残念ながら、保険診療は赤字です。
 患者さんもスタッフも幸せになれるように、一生懸命みんなで努力して、保険診療のレベルも落とさずに、スタッフには、何とか社会保険にも入って、退職金もつみたてて・・・とない知恵しぼっておりますが、診療報酬に反比例して、社会保険料は右肩上がり・・歯科医療に携わっている人たちは、責任のある仕事の割りに、どうなんでしょうか。仕事自体はとってもすきなんですが・・・

 アメリカ政府はあるとき、こんな宣伝をしました。
軍隊の死亡率は、一般社会より低い・・・・
これは、死亡率の低い若者の集団と、老人が含まれる一般の集団を比べて、上手に数字をはじき出したのです。
 歯科医になって、政府というか、官僚たちのやり口の限りを見てきているので、私は政府発表の数字などはあまり信じません。こういう数字を出してきて、今度は国民をどういう方向へ向かわせたいのかな?と思います。

 私たち国民はというと、高い保険料を払って、まともな医療が保険では受けられなくなる方向に、どんどん向かっています。
 医者はもうかっている神話の裏で、本当に、国民の医療をめちゃくちゃにする政策がどんどん進行していることを、本当に憂いています。

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by urakawasika | 2010-04-02 00:14 | 医療人ねた | Comments(11)

Commented by Thompsons at 2010-04-05 12:58
どうしたものですかね・・・。国民にとっては医療費が安いのはうれしいことだとは思いますが、お医者さんだって慈善事業ではないので、技術に見合った報酬を受ける権利がありますもんね。
今回の改訂ポイントから病院よりも診療所のほうが有利だなぁ~と漠然と考えていましたが、おそらく先生のところは診療所に分類されるはずですよね?
そう考えると、誰が得をしているんですか?得というか・・・この法案により、恩恵を受けた人たちは誰なんでしょう?
医師会か何かがもっと声を大にして言うべきことなんでしょうが、そういうところは政治と太いパイプでつながっていそうですしね・・・。
医療を完全に自由競争させたら・・・?でも、そうすると医療格差につながるのか・・・。
あぁ~!わかんない。。。
Commented by heitaroh at 2010-04-05 18:22
ひとつ、疑問があります。
どうして、そんなに労多くして功少なしの歯医者があんなにたくさん、林立(乱立?)しているんですか?
Commented by urakawasika at 2010-04-06 23:47
コメントありがとうございます。
医師会とか、歯科医師会って医師、歯科医師の組合みたいに思われていますが、医師会は知りませんが、歯科医師会って、まるで、厚労省の意向を歯科医に徹底させる上意下達機関みたいで、一度も会員のために、政府と争ったりしたのを見たことがありません。マスコミで、歯科医師の権利のための圧力団体のように言われると、たぶん、歯科医の多くは??って感じです。不思議な団体です。
 かいわれ業界でさえも、O157事件で風評被害にあった時は声明を出したというのに。

 トンプソンさんのおっしゃるように、確かに病院歯科の報酬は、少しあがったみたいですね。でもね、今まであごを切って摘出する口腔癌の手術でも5万円くらいだったので、う~ん、素うどんがカレーライスになったくらいの感覚なんだと思います。報われない外科医にとっては、それでも本当に良かったと思います。

 
Commented by urakawasika at 2010-04-06 23:54
へいたろうさん!本当にごもっともな質問ありがとうございます。今だに、歯科医はやりがいもあって収入も良いと思われているので、まだまだ国公立の歯学部の倍率は高いみたいです。
 でも、29ある私立の歯科大学の3分の1は、今年は定員割れだったようです。卒業までに、私立は家一軒建つくらいの金額がかかるので、歯科医になる費用対効果が悪すぎると思う人が出てきたのでしょう。何しろ、関東地区のリサーチでは、師弟を歯科医にさせたい、と答える開業医は10パーセントを切っているそうです。

昔は、師弟を歯科医にさせたい人が多かったのでしょう。場当たり的に歯学部を増やしていった歴史が、過剰の現状を作っているみたいですよ。

 やっぱり、歯科医という職業はつぶしがきかないので、そうそう商売がえしないし、大きい病院の歯科は、ここ10年で、赤字でめっきり消失してしまったので、開業する道しかないのも、たくさん歯医者さんがある原因だと思います。

でも、廃院も多くなって、若い先生は、保険診療で大きな開業のリスクを負うのが難しくなって、開業しなくなってきたので、じわじわと、減り始めたようです。


Commented by urakawasika at 2010-04-06 23:59
そろそろ商売がえする歯科医も現れてきました。また副業をメインにさしかえる人も・・・
たとえば、ルーキーズの主題歌を歌っている、なぞの歯科学生グループ、”グリーン”。彼らはは国家試験にパスしたようですが、十分歯科医業に固執せずとも生きていけます?
 ちょっとちがうか・・・
Commented by urakawasika at 2010-04-07 00:06
ちょっとしつこく書きすぎですが、歯科医療の未来のために・・・

技工士さんは、その点、フレキシブルに商売換えされますから、3年以内の離職率は70パーセント。技工士学校はのきなみ定員割れ。ものすごい技術だと思いますが、まるで奴隷のような労働条件の方が多く、まったく下が育っていかないのです。診療報酬の安さは、10年後の技工士の消滅、という危機をもはらんでいます。

あ、今日、ある技工士さんから、先生よく書いてくれましたね、とメールが来ました。

そうです。技工士さんってシャイな方が多いので、コメントらんに書いてくれません。職人の世界ですからね。医者の世界も。
Commented by へいたらう at 2010-04-07 18:44 x
業界は違いますが、途中から、まったくうちの業界のことを言っておられるな気がしてきました。
日本全体が沈没しかけているからか、今は、どの業界も同じようなことになっているのかもしれませんね。
Commented by urakawasika at 2010-04-08 22:55
そうなんですか~。途中からって、どの変なのかしら・・・
でも、うちの税理士さんが、最近、これはおいしい仕事だっていう業界はありません。どの業界にも、ただ勝ち組と負け組みがいるだけです・・と含蓄あるお言葉をはいておられました。なるほど~、と思いました。
 もはや、名ばかりの学歴などは、通用しないようになってきたのかもしれませんね。そうなると、いい面もあるということかもしれません・・
Commented by ゆりしゃん at 2010-04-16 21:17 x
確かにどの業界にも勝ち組と負け組がありますよね、医業も同じだと思います。 医師は国家試験合格の後、研修医2年ののちは大学の医局に所属して、大学病院や医局の関連の公立病院、第3次医療機関に配属され、半年~1年、2年でまた医局人事で別の病院に移動があります。医局に所属している間は、お給料はサラリーマンとあまり変わりません。実際働いている時間で割ると、コンビニのバイトより低いこともあるかもしれません。確かに就職には全く困りませんし、リストラなどもありませんが、収入面では対してよくないどころか、その仕事の内容からすると非常に安いものがあります。では開業すると・・・、まさに勝ち組、負け組はっきりします。何億という負債を背負って倒産するところもあります。CT、MRIは億単位、エコーもいいものをいれると1000万円超えます。さらに人件費・・とにかくお金がかかります。高いお金を使い開業しても赤字のところはたくさんあります。開業医は負け組、勝ち組はっきり別れます。 一生勤務医でそこそこ無難な収入でいくか、いちかばちか開業するか、、、難しいですね
Commented by ゆりしゃん at 2010-04-16 21:31 x
続きです。それでも医師の場合は、医局に所属する医局員、公立病院へ派遣、公立病院に永久勤務、開業、私立病院へ就職、検診センター、産業医、民間病院へのときどきのネーベン、検査・外来のみの応援などたくさんつぶしはききますので、まだまだ開業医の子弟を医者にさせたい、という方はとても多いです。国立医学部の入学試験の難関度は年々上がってきて狭き門となっています。さち先生も書かれていましたが、歯科はつぶしがきかない為、開業する歯医者さんが多いと思います。まさに歯科医戦国の世だと思います。親戚に歯医者で開業しているものがいますが、徒歩圏内に歯医者が6医院あります!!大変そうです。これから歯医者はきびしい、と息子には医学部を受けさせ、息子は医者になっています。歯科医療の未来はどうなるんでしょうか、現場をしらない国の政策には腹がたちますね、というか呆れます
Commented by urakawasika at 2010-04-18 00:34
ゆりしゃんコメントありがとうございます。
ほんと、医療と言うものはコストがかかります。でも、そのことを、一般ではあまり認識されていませんよね。
 現場主義の政策になってほしいものですね。
 コンビニのバイトより安い・・・というのは笑っちゃいました・・・そうだそうだ・・・とか言って・・そういうのを、ワンコインドクターとかいう流行語を作ったらどうだろう!悲哀をこめて。

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